どちらも日本料理を出す高級なお店というイメージがあるが、
どのような違いがあるのだろうか。
「料亭」はお座敷で料理を食べ、芸者遊びを楽しむ。
「割烹」はカウンター形式で日本料理を味わう。
「料亭」と「割烹」どちらが先かと言うと、
「料亭」のほうが先にあった。
「料亭」は江戸時代中期の深川や浅草が発祥とされている。
当時は「料亭」ではなく、
「料理茶屋」と呼ばれていた。
「料理茶屋」には広いお座敷の個室がいくつもあり、
大名など位の高い武士たちが決まった料理、
今で言うコース料理を食べて、芸者さんを呼んでお座敷遊びを楽しんでいた。
いつから「料亭」と呼ばれるようになったかというと、
1897年(明治30年)に当時の情報雑誌である『風俗画報』で最初に「料亭」と呼ばれた。
その後、
「お座敷で日本料理を食べながら芸者遊びをする店」のこととして「料亭」が広まった。
一方、
「割烹」が初めてできたのは、
1927年(昭和2年)創業の京都市祇園にある「板前割烹 浜作」とされている。
純粋に料理だけを味わってもらうため、店内はカウンター席のみになっている。
「割烹」ではカウンター前の客が料理を作るところも見ることができ、
また、出来立てを食べることができる。
料理に特化した形態である。
では、「浜作」がなぜ「割烹」と付けたかというと、
「割烹」という言葉は奈良時代の『日本書紀』にも記されている。
「割烹」の「割」という言葉は、
包丁を使って切ったり裂いたりという意味で火を使わない料理のことを言い、
「烹」は煮たり焼いたり蒸したりと、
火を使う料理のことを言う。
もともと「割烹」は料理の技法を表した言葉だった。