おあいそ
食事が終わり、
代金を支払うときに「おあいそ、お願いします」
という人がいる。
「お勘定をお願いします」
という意味だが、なぜこういうのだろうか?
勘定を払うときくらいは、
愛想よくしてくれという意味だろうか?
現在のように、
どこに行っても飲み屋がある時代と違って、
昔は、一軒の飲み屋に通いつめるのがふつうだった。
そのため、店のツケを全部支払うことは、
同時にその店とのつき合いを清算するという意味があった。
ふつうは、
お勘定の一割程度を、ツケとして残しておくものだったのだ。
しかし、その店に二度と行かないのであれば、
ツケをすべて清算する必要がある。
そういうときには、
「勘定を全部払うのは、お愛想づかしだが」
といって、お金を払ったものだった。
だから、本来「お愛想」とは、
客がめったなことでは口にすべき言葉ではないのだが、
いまではほとんどの人がそんな由来も忘れているようだ。